京都工芸染織展 2023年展示品
こちらは2023年2月に開催時の「第一回 京都 染と織の展覧会」に展示した作品です。
こちらは2023年2月に開催時の「第一回 京都 染と織の展覧会」に展示した作品です。
紅地雪輪青海波に水仙文唐織能装束 山口安次郎作 平成3年(1991)
青海波に見立てた大小の雪輪で地文様をつくり、上文様に群れ咲く水仙を軽やかに表現しています。早春の気の冴えと花の香気が感じられ、色替りの雪輪が華やかさを添えています。
多彩な緯糸を浮かして織る唐織は、一見すると重厚な衣装ですが、能を舞う時に身に着ける装束として軽く仕上げられています。また、艶やかで張りがありますが、しなやかさを併せ持っており、女役の上着として用いられます。
製織者の故山口安次郎は、105歳まで生涯現役で活躍された西陣が世界に誇る現代の名工です。この美しい能装束は、昭和61年(1986)、英国チャールズ皇太子とダイアナ妃ご夫妻が来日された際の献上品と同一の作品です。
萌葱地花籠と垣に秋草文様長絹 西陣織工業組合帯地部作 昭和57年(1982)
熊本の大名、細川家に伝来したもので、背や胸と両袖に藤とすすきの花籠を、裾には柴垣に生えるなでしこや桔梗などの秋草を織り出した文様で、風雅な趣きを備えた能装束です。
金糸と色糸が美しく織り込まれ、絽の透ける地質と張りのある軽やかさが、舞の動作に大きく揺れて見る者を幽玄の世界に誘います。
長絹は、薄物の単衣で製織される広袖で直垂形式の装束で、上着として羽織るようにして着用します。優雅な女役の表着に、平安時代の和様の美意識を見ることができます。
振袖「春秋御殿御所解文様」 江戸後期文化文政(1804~1829)
この総模様の御殿御所解振袖は公家や将軍家大名家の姫君や高位の人の振袖と思われます。まさに文化文政の最高の作品と言えましょう。この振袖一領の中には着用者の教養が至る所に表現されております。王朝を描いた艶やかな四季折々の風景の美しさの中に永久不変を意味する常盤木に絡みつく藤、右袖の上には蔦屋に琴が置いてあり、「峯の嵐か松風か」の小督の局を表したものでしょうか、緋色の組を翻がえして飛ぶ鷹の姿は鷹狩りが秋から冬にかけて行われる行事なので、季節を表わし、御所車と扉を閉ざした枝折戸が「通小町」で知られた洛北市原野の小野の小町のもとへ通い詰めた深草少将のロマンを表現したものではないでしょうか。文学的内容のある品格のある作品です。
白木染匠資料室所蔵
(株)に志山染匠 訪問着「森林」
京手描友禅(無線友禅)
無線友禅とは、糸目をせずに生地に直接刷毛のみで染色する技法です。糸目糊による防染をしないので、図柄の際がにじんだような表現になります。これを生かして幽玄な山々の自然を描いています。
染匠市川(株) 訪問着「百花」京手描友禅
紺地に琳派の百花を描く。細かな糸目と挿し友禅の暈しに技術の確かさを感じさせる逸品
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成23年度 第63回大会受賞
吉村株式会社 京友禅型染留袖「吉祥稲穂に水草小鳥」
吉祥文様の実った稲を水草と千鳥で構成。京友禅裾模様に金・銀・光彩箔をふんだんに使用し、金駒刺繍で豪華さとボリューム感をつけ、引染足付暈しで絢爛さと美しさを表現した逸品です。
(株)丸匠坂本 振袖「胡蝶蘭」中国刺繍
全て中国手刺繍で仕上げる。繊細な技術の高いレール柄をバックに胡蝶蘭を大胆に繊細に配す。
(有)藤沢刺繍 訪問着「唐花」京縫
細い唐花に手刺繍を詰める。色々な刺繍の技法を駆使して細かな文様を際立たせる。
タケハナ染匠 黒留袖「誰が袖」京手描友禅
誰が袖とは、桃山時代から江戸時代にかけて流行した、様々な豪華な女性の衣裳を衣桁にかけた図柄のことで、小袖などに見られます。本作はこれを留袖に染め、蔓帯と房を配しています。
藤理工芸(株) 訪問着「華紋」京手描友禅
大きな更紗模様の華紋をメインに更紗を散らす。紺の濃淡の暈し挿し友禅が華紋を一層引き立てる
喜々KIKI 訪問着「マンタ」京手描友禅
動きのある線上げのマンタと、友禅の熨斗目を詰めたマンタを裾に配して、趣向をこらした斬新な訪問着に染め上げた。
訪問着 「青楓」 上村米重 作
楓は紅葉だけでなく、春から夏のあおかえでも緑々しく、見る人に元気を与えてくれます。奈良の談山神社の楓をローケツ上げと友禅で制作しました。
訪問着「菊花遊鶏」木戸源生 作
伊藤若冲の生誕300年を記念して様々な催しが染織の世界でも行われました。作者はこれに挑戦し、優雅な菊花のもと遊ぶ鶏を手描友禅に金彩を施し、装飾性あふれる訪問着に仕上げました。
訪問着 「嵯峨野」 上村米重 作
竹林に吹く風は、幻想的なひかりと相まって竹の生命力を感じさせてくれます。竹林の音を表現してみました。
訪問着「月下」木戸源生 作
月のあかりに照らされ咲く可憐な萩の花群を、万葉の人々に思いを寄せながら、優しく糸目友禅で、あえて月を入れずに表現しています。
無双訪問着「凪(なぎ)」木戸源生 作
今ではすっかり目にすることが少なくなった網干。船出を待つある漁村の風景を無双訪問着にて爽やかに表現しました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成19年度 第59回大会受賞
㈱関谷染色 手描染 訪問着 「破動」
作品の特徴:主に「染ぼかし」の技法で濃淡をもたせ、「奥行」と「動き」を表現しました。さらに手描友禅の技法により「奥行」を一段と強調しました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成20年度 第60 回大会
㈲吉江染工場 型染 訪問着 「小渦見」
作品の特徴:渦巻きの小紋柄をぼかし染により大胆に切り分けました。三度の引染が色に深みを加え、渦の「めだか」が粋な中にも可愛らしさを引き出します。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成17年度 第57回大会
㈱京染せい山 手描染 訪問着 「滝桜」
作品の特徴:白を基調に、無線描き彩色とぬれ描きの技法を使い、単彩であっても奥行きと重厚さ、豪華さを出すように心掛けて制作。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成11年度
創立50周年記念大会(第51回)
㈱京染せい山 手描染 訪問着 「波流」
作品の特徴:波の動きを中太の線に、波のうねりを染ぼかしで表現してそれぞれの重なりの面白さとともに、配色を白ネズでまとめることにより上品さとしゃれ感を出しました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 令和2年度 第72回大会
有限会社吉江染工場 京友禅型染訪問着 「波涛」
型染めの粋を尽くし、複雑な型使いにて、細い糸目を描きました。ぼかしにて、波の動きを表現し、強い波でありながら、柔らかい色使いで優しく仕上げました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成27年度 第67回大会
株式会社京染せい山 手描染訪問着「染裂取ボカシ琳派四季草花」
細かい染ボカシにより裂取を5色で染分けし、奥行とやわらかさを表現している。色彩も寒色系を中心に重厚な琳派草花をすっきりとした感覚にまとめた。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成29年度 第69回大会
株式会社京染せい山 京友禅手描染訪問着「流水取琳派四季草花」
染暈し技法による力強い流水の流れに四季折々の草花を季節が移り遷わるが如く。
糸目友禅、金彩加工、手刺繍で表現しました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成26年度 第66回大会
株式会社京染せい山 京友禅手描染訪問着「流水に四季草花図」
白地にモダンな水色で流れる水を描き、四季の草花をその流れに沿うように施した。糸目友禅の輪郭に芝色の糸目消しをすることにより柔らかさ(特に流水)を出した。琳派の古典柄でも配色により現代的感覚を表現した。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成24年度 第64回大会
株式会社関谷染色 京友禅手描染訪問着「彩華」
花水木をモチーフにロー描き、ダンマル描きの技法を併用し、染めはモヤボカシで肩から裾にかけてグラデーションをもたせ、春の光の柔らかさを表現いたしました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成21年度
創立60周年記念大会(第61回)
森田染繍工芸株式会社 手描染 留袖 桧扇重取茶屋辻文様
伝統的な茶辻文様の部分には藍と白茶濃淡の友禅挿しをほどこし、桧扇の紐のみ五彩の友禅を挿す事により、華やかさと重厚を表現しました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成28年度 第68回大会
安藤染工 型染 振袖「琳派百花」
季節の草花を淡い配色で仕上げ、白黒のメリハリのある斬新で豪華絢爛な振袖に仕上げました。
300枚以上を超える型紙を使用して染め上げられた琳派調の京友禅振袖です。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成30年度 70周年記念大会
吉村㈱ 京友禅型染 振袖 「NAMI」
波をイメージにして波の形の変化だけで構図を決めて、制作は伝統的な型友禅の手作業で行い、金加工、駒刺繍を駆使しました。
京友禅競技大会 大臣賞受賞 平成25年度 第65回大会
株式会社京染せい山 京友禅手描染訪問着
梅の表現は糸目友禅です。明るさと奥行きを表現するため白地に片身ボカシ染をしています。金彩と刺繍を施すことで爽やかな雰囲気の中にも少し豪華さをもたせました。
木村染匠(株) 振袖 「宮殿に唐洋花」
京手描友禅
白地に宮殿に唐洋花を描く。柄素材の特徴を生かした構図と、金彩と刺繍などを施した多彩な技術の集大成として完成させている。
(株)桂川染匠 染名古屋帯 京手描友禅 「松」
太い幹に、老松を描きの大胆な構図に繊細な技術が感じられる染帯となった。
吉永さゆりさん着用のきもの
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
内閣総理大臣賞
株式会社 西陣まいづる 袋帯「古代エジプト遺宝文」紹紦織り
中世ヨーロッパ由来のゴブラン織の趣と、西陣織伝統の紹紦織を融合させた芸術性に富んだ作品です。五色の経糸と多色の緯糸を複雑にミックスさせ、緻密に織ることで生まれる深い色合いが圧倒的な存在感を漂わせます。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
文部科学大臣賞
宮田織物 株式会社 京袋帯「工芸組紐段」変わりあぜ
縞文様の縞糸を用いて色のグラデーションを出し、変わりあぜ地文でおしゃれな柄を表現した一重太鼓の京袋です。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
中小企業庁長官賞
株式会社 長嶋成織物 袋帯「ソフィア」錦地
ステンドグラスの特徴を生かしたカラフルな配色と線描写がおもしろい模様を表現しました。細やかな割付文の組み合わせが美しい逸品です。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都原糸商協同組合理事長賞
河瀬満織物 株式会社 袋帯「世界へ」紹巴
また自由に世界へ行けるようにと思いをのせての図案から紹巴織ならではの技術で地球儀、世界地図の細かな線、色の出し方で西陣織の素晴らしさを出しきった作品です。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
製造産業局長賞
泰生織物 株式会社 夏帯「よろい織 市松」綟り織
盛夏に締める夏袋名古屋帯です。紗地をベースに筬の前に振綜(ふるえ)を装置する本羅の技術を使って、強く撚った太い糸で網状の文様を織り成しています。市松は経絣染を用いて経糸の色の変化で表しています。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都府知事賞
大光 株式会社 袋帯「エジプト天井絵」金彩ラデン加工
古代エジプト遺跡 デンデラ神殿は近年清掃作業が行われ、数百年間のすすが取り除かれ、その天井には、世界で最も鮮やかな色彩が現れました。この帯では、美しい古代エジプトを思い、その天井絵を織物で表現しました。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都府知事賞
服部織物 株式会社 手織帯「倭華文(やまとかもん)」手織引箔
平安時代、異国的要素が色濃く反映していた中で漸次、日本本来の美意識、純和風文様が開花します。倭華文はまさにそれであり、本金箔、Pt箔を用い、西陣織最高の手織引箔技法で織り上げています。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都府知事賞
河瀬満織物 株式会社 京袋帯「白馬の騎士」三重錦
中世ヨーロッパの騎士が、白馬で駆ける度に帽子に付けた羽根が揺れる様を描いた躍動感溢れるデザインを帯に。経糸を8,100本使用し、結び心地にこだわった三重錦組織で織り上げました。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
近畿経済産業局長賞
株式会社 織匠小玉 本綴帯「願い」西陣爪掻本綴織
「世界中の人々が幸せになりますように」と願って織り上げた作品です。地球の色と数種の金銀糸にこだわり、地球が幸せ色に輝くイメージを描きながら織りました。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都市長賞
塚喜商事 株式会社 あさぎ事業部 丸帯「桜梅柳紅葉橋文」紹巴
ベースに漆箔を使用し、黒字で仕上げ、紅葉と柳を配しています。反対に奥は、本金をベースとして金地を主張させています。また、手前には季節感を変えるために梅と枝垂桜を配しています。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都市長賞
大光 株式会社 なごや帯「色彩キルト」ヤスラ経錦
パッチワークキルトの歴史は古く、布のある所では必ず端切れを活かす知恵がありました。今ではアートとして昇華したそのスタイリッシュなデザインと鮮やかな色彩を西陣織で表現しました。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会会長賞
波多野綴錦工房 本綴帯「波筬七色段」西陣爪掻本綴織
波の形の竹筬で、一越ずつ七つの色を交互に入れながら全通で織り上げた綴れです。機械ではできない手織の熟練の織工が織った作品です。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
一般社団法人日本絹人繊織物工業会会長賞
今河織物 株式会社 袋帯「ピエロ」フクレ織御召地
子供の頃に描いたピエロの衣装。何処か儚げなピエロの「楽しさと哀愁」を表現できたかな。コーディネートで様々な表情を引き出していただけたら嬉しいです。御召緯を使用したとても軽く、しわが取れやすい帯です。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都商工会議所会頭賞
木野織物 株式会社 袋帯「菊花青海波」錦
デザイン化された菊の文様を青海波取りに配置し、左右非対称(アシンメトリー)にすることにより動きをつけました。配色は単色にまとめながら、立体感が出るように配置を変え織り上げました。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
京都織物卸商業組合理事長賞
大光 株式会社 堀健支店 丸帯「琳派の競演」風通よろけ織(三重紗織)
琳派の巨匠 尾形光琳の描く“光琳波”と奇才の画家 伊藤若冲が残した天井絵“花卉図”を大胆に表現した丸帯です。織端には、俵屋宗達の“風神雷神”を織込み、琳派の競演と題した美術品に仕上げております。
2022西陣織大会 入賞作品 帯部門
西陣織物産地問屋協同組合理事長賞
株式会社 織よし 袋帯「羽ばたき」引箔本袋
西陣織の中でも難易度の高い引箔技法で織った本袋帯です。螺鈿風に仕上げられたグラデーションの柄箔を一本一本模様を揃えながら織込みました。見る角度によって様々な光沢を放ち、とても綺麗に映える帯です。
株式会社西陣まいづる 袋帯 「紅白梅図 」引き箔 錦地織
琳派の金箔地、空間表現を西陣織の極細引箔技法で再現し、木々に用いるたらしこみにじみ表現を西陣織のしみ込みぼかし技法で再現しました。たて糸に極細三眠蚕糸を用い、匂い立つ繊細な春の梅を感じさせる逸品です。
2022西陣織大会 入賞作品 きもの部門
経済産業大臣賞
宮田織物 株式会社 きもの「円窓唐花文」本しぼ織
緯糸に強撚糸を織り込み、生地の表面にシボを出した今までにない軽さと柔らかさを持ち合わせたきものです。絵羽付の柄を織で表現し、最後に染を施した訪問着です。